お釈迦様の最後のことば -長部第16『大般涅槃経』-
本日、2月15日は釈尊(お釈迦様)が涅槃に入られたと伝わる日です。
釈尊は35歳で悟りを得られてから涅槃に入られる80歳まで、45年にわたり教えを説き続けられました。そしてその言葉が、弟子たちによって記憶され読誦されて、約2500年前から今に伝わっています。
本日は釈尊が涅槃に入られた日(般涅槃の日)ということで、釈尊の遺言、最後の言葉を、パーリ仏典の『大般涅槃経(マハーパリニッバーナスッタ)』というお経(スッタ)からご紹介します。
パーリ仏典長部第16『大般涅槃経』は、晩年釈尊が滞在されていたラージャガハ(王舎城)近くの鷲峰山(霊鷲山)から、入滅の地クシナーラーで涅槃に入られるまでの歩み、その各地で教えを説かれた旅の記録と法を伝えるお経でもあります。
釈尊は最後の時、サーラ双樹の間に頭を北にして横になられました。そして時がきて、比丘たち(僧侶たち)に向かい、私が入滅した後、質問する事ができず後悔する事がないよう疑問があれば今尋ねるように、とおっしゃいました。比丘たちは満たされ質問する事はありませんでした。そこで、釈尊は告げられました。
「さぁ、比丘たちよ、今やそなたたちに告げます。<いかなるものも移ろい行きます。怠ることなく努めなさい>」(パーリ仏典 長部第16『大般涅槃経』片山一良訳)
私たちが作り出すもの、この身体や心は常に移り変わり変化する。それゆえ、正しい念を保ち努力しなさいと、生涯説き続けられた教えを一言でまとめられました。
このお経を読むと、その当時の情景や、釈尊や弟子たちの息づかいまで聞こえてくるような気がします。
また、釈尊は同経にて「私がそなたたちのために説示し制定した法と律とが、私亡き後、そなたたちの師なのです」と説かれています。
そのため、私たちは残されたお経から仏教を学びます。仏教を学ぶ事は、生きるとはなにか、死ぬとは何かを学ぶ事でもあります。